書評「サピエンス全史(上)」
「サピエンス全史(上)」 ユヴァル・ノア・ハラリ 著 柴田裕之 訳 河出書房新社 2016
以下、内容に関するメモ。
第1章:
- たくさんいたホモ属。一万年唯一の人類であることに慣れ過ぎたホモ・サピエンス。ホモ属がたくさんいる世界は想像しにくい。火を使い始めた人類。それまでは身体に拠り所を求めていた。身体が強いものが強い。しかし、火があればひ弱な女性も森を焼き払うことができた。→ 身体から解き放たれた。
- 火を使い始めて、消化する時間が短くなり時間があまった。かつ腸の長さを短くでき、エネルギーもあまった。→ 脳を大きくできた。
第2章
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ホモ・サピエンスがどのように集団を作れたか:噂話や陰口で誰が信用できるかを確立。しかしこの方法では150人規模の集団が限度。どうやって何万人もの都市を作ったか。それは共通の虚構や神話を信じることができたから。これを認知革命と呼ぶ。カトリック教徒は共通の宗教的神話を信じている。国家も。
第3章
- 狩猟民族の方が農耕民族より、健康的で長生きだった。農耕民族はいつも同じような物を食べ、食生活が偏り、飢饉がくれば大打撃。疫病が広まれば影響甚大だった。
- 狩猟民族は、色々な物を採取して食生活が多様。常に移動するため、疫病の影響もうけない。平均寿命と20年ほど違ったとのこと。
第5章
- 農業革命によって小麦を栽培するようになったのか?否、人間が小麦に家畜化されたのだ。せっせと世話の焼ける小麦の世話をしたが、個人レベルでは何も恩恵はなかった。狩猟民族の方が良い生活。ただ、種全体として人口を増やせた、繁殖を可能にした。
第9章
第10章
- 貨幣システム:貨幣システムのなかの靴職人は靴の値段さえ知っていれば済む。靴とリンゴの交換レートを暗記しておく必要はない。リンゴの栽培家もリンゴが欲しい靴職人を探す必要はない。貨幣なら皆が欲しがるから。相互信頼の制度。
第11章
- 一つの帝国が崩壊しても支配下にあった民族は独立できなかった。その空白は新しい帝国が進出してきて埋めた。帝国が共通の文化を積極的に広めた理由の一つに正当性を獲得することがあった。被征服者の方がなおさら大きな恩恵を受けると正当化した。→ 宗教の布教。アメリカの第三世界に民主主義と人権の恩恵をもたらそうとする。